エピソード3:「競争より共栄」

知られていなければ、
存在していないのと同じ。

馬刺しのテイクアウトを
知ってもらう努力が必要だ。

私達の店は、
大通りから2本の道が
奥まった場所にあります。
茨城は車社会。
大通りなら運転しているだけで
誰もが目にする。
でも、うちの店は、
店に来る以外は目的としないような場所。

私達は、
休業期間中に、顧客名簿に一件一件電話をして、お客様の大事を案じながらテイクアウトの存在を伝えました。グルメサイトやホームページ、Googleマイビジネスにも掲載しました。チラシを作り、手分けして、近隣の住宅に投函しました。

店頭には、 
垂れ幕を設置しました。

店の入り口ではなく、店から離れた
道路のそばにメニュー看板を設置しました。
お客様が立ち止まって、店の店員を気にせず
ゆっくり商品を見れるように。

もっともっと知ってもらいたい。

そんな時、
テレビでお笑い芸人のオードリーの
CMを見た。
「テイクアウトアプリ menu」だ。
無料登録。
お客様は事前決済で店頭受取が可能。
接触時間を減らせる。
宣伝にもなる。

即申込契約。

いざ、アプリを立ち上げてみると
茨城で加入している店は
うちともう一店舗くらい。。

それもそのはず、
初めての緊急事態宣言。
それぞれの店が必死だ。

融資の相談、助成金の手続き、
従業員のシフト調整、
仕入れの調整、コロナ対策、
今後の経営について。
やることは山ほど。
お客様が減ったんだから暇でしょ?
逆にやることは増えるんです。
余裕なんてない。

そうだ!!
他の店にも教えてあげよう!!

他のお店もうちと同じ気持ちなはず。

お客さんも、アプリを開いたら馬刺ししかないより、牛タン屋も、寿司屋も、焼き鳥屋もイタリアンもあった方が嬉しいはずだ。

沢山の店があれば、
コロナ禍で数少ないお客様を取り合わずに、
自分達の顧客のシェアも出来る。

街が死ねば、
夢のミシュラン一つ⭐︎も無理だ。
話はずれるが、因みに
なぜミシュラン茨城版がないか?

答えは簡単。
素晴らしい店が少ないから。
ミシュラン茨城版出して、
冊子にしたら3ページしかありません
ってなれば刊行するわけない。

実際に自分は
ミシュランに問い合わせている。
「もちろん私達は全国のガイドを
出したいと考えております。
しかしながら、
近年の予定に茨城版の
刊行予定はござません。」
と丁寧にご返答頂いた。
逆に街を進化させる必要がある。
みんなで切磋琢磨し、
五大都市に負けない魅力的な 
店が集まる街に進化する必要がある。
都会を追うのではなく、
茨城独自の魅力がある街に
早速、企画書をつくり、
一軒一軒訪問。

「一緒にアプリを導入しませんか?
俺たちは競争相手ではない。
同じ街を盛り上げる仲間だ。

お金もかからない。
わからなければやり方も教えます。
あと、おすすめ写真を送ってくれたら
チラシも無料でつくる。
ちょっとだけデザインの
仕事してたから。

メニューに挟んだり、店頭に置いて、
みんなで発信しよう!
みんなで研究学園(エリアの名前)
の街を守ろう!」

そして、
8軒の同志がここに。 
たぎりましたよ、我々は。
全員で生き抜くぜ。

続く。